決勝日の11日。当初雨の予報だったが晴れ。早朝からSUGOのパドックは色とりどりの競技マシンで飾られた。ヒート1、N3クラスがスタート。S2000にとっては優位に立てるコースレイアウトであることから、ここで一気にライバルのRX7勢と差をつけたい。そのRX7勢が次々と苦しむなか、ここまでのトップは柴田S2000の1分14秒360。さらに切れのある走りを見せたい山野S2000が、スタートラインにつく。マシンの車高を高めにして走行スタート。うまくタイヤグリップが路面に伝わらない状況ではあったものの、ゴールタイムは1分14秒191! 柴田S2000より0.169秒上回り、ヒート1をトップで折り返した。昼に行なわれる慣熟歩行をパスした山野は、積極的にファンサービスに徹する姿が見え、パドック内は明るい雰囲気となっていた。いよいよヒート2。山野は更なるタイムアップを自らにかけ、その時を待っていた。タイムダウンするマシンが数多く見られるなか、2位につけている柴田S2000もタイムへの焦りからか、ドライビングが不安定となり、ヒート1の自己タイムを更新することはできなかった。満を持して山野S2000がスタートを切る! 飛び出しからその的確なステアリング裁きでマシンをコントロールしていく。S2000を知りつくした山野ならではの走りだ。ヒート1より、車高を1.5ミリ下げたことによりマシンの動きがシャープになり、S2000本来の走りが戻った。ミスなく疾走していく姿は誰の目にも勝利を信じて疑わなかった。鮮やかにゴールを切ったタイムは1分13秒694と、自己タイムを0.503秒も縮め、他を寄せ付けない圧倒的勝利となった。満足の行く走りができた山野は、観客の歓声を浴びながらマシンから降りた。勝利を自らの手に収め、島村メカと喜び合う姿が、印象的に光った。
「前戦キョウセイで優勝できなかったことから、SUGOでは絶対に勝つ気持ちで現地入りした。相性の良いサーキットでもあることや、マシンセッティングが決まったこともあり、目標としていたタイムを上回ることができた。レース後の再車検の報告はショックだった。最低重量が不足していたのは事実。失格の裁定を素直に受け止め、同じミスをしないよう、細心の注意を払うことにする。次戦広島で汚名返上できるよう、最大の努力をする。スポンサー、関係者、ファンの方々の期待に応えられるよう、今後の活動により注目して欲しい。」