スタート前に給油、タイヤの磨耗、4人のドライバーを踏まえた今回のレース戦略を打ち合わせた結果、約2時間交代がピットワークのルーティンワークの予定となった。
日も落ちピット裏では各チームから賑やかな声も聞こえ、バーベキューの煙も立ち上りお祭り的要素を含ませたレースイベントで、コースでは夜間のドライビングに集中するドライバー、ピットではいつ何が起きても対応するべく、スタンバイするメカニック。相反する雰囲気もこの十勝24時間レースならではだ。
レースの方はクラス5番手からスタートしたトップバッターの尾本選手から本山選手へ、そして井出選手、他チームの給油とC-WESTアドバンZ33の順調な走りで順位はトップ。6時間後、星野選手まで大事に乗りこなしていったC-WESTアドバンZ33はまるでリレーのバトンのように引き継がれ、トラブルもなく順調に走行距離を伸ばし、クラストップを爆走していった。各ドライバーも自分のドライビングをこなすだけでなく車輌の状況を説明したり、その後の戦略を練るなり、決して充分とは言えない睡眠時間でドライビングを続けていく。
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一般家庭で就寝するころの23時、コース上で疾走するC-WESTアドバンZ33に異常が生じた。無線で状況を受け取ったメカニックは工具を揃え、万全の体制でC-WESTアドバンZ33のピットインを待ち構えていた。ドライビングしていた尾本選手がピットイン。即座に作業に取り掛かりデフ、ドライブシャフトのチェックを済ませ続けて、大声が飛び交う中交換作業へ。凄まじい速さで次々に車輌の下からパーツが投げ出され、新たなパーツが渡され組まれていく。そしてピットアウト。順位は4位へと後退していた。
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夜間走行中に車輌を識別するため、全てのレース車輌の天井にはクラス識別ランプを掲げているが、C-WESTアドバンZ33はイエローのヘッドライトと、ドライビングランプが他のマシンを圧倒するくらいの眩い光量で、最終コーナーを立ち上がり、天井のクラス識別ランプより車種識別ヘッドランプと言える程のインパクトがあった。
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そして日も昇り、ドライバー、メカニックの疲れも見え始めている朝方、コース上では例年必ずかかるといってもいいほどの十勝の霧がかからない中、C-WESTアドバンZ33は走り続ける。
途中小雨が降り、レインタイヤを用意する場面もあったが、特に大雨にもならずスリックのまま走行。
レース開始20時間、717周もの周回を消化していたころ、他チームのマシンから噴き出されたのオイル除去のため、セーフティーカーがコースイン。そこでタイミングよくルーティンのピットイン。井出選手から星野選手へドライバーもチェンジ。ピット戦略が成功しC-WESTアドバンZ33は3位へ浮上!
残すは後1時間!怒涛の追い上げと先行者のトラブルもあり2位に。ドライバーは星野選手から尾本選手、そしてラストスパート!
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各車24時間走り続けたコースの脇には帯び重なったタイヤかすが、このレースの凄まじさと過酷さを物語っていた。ラストドライバーの尾本選手はこれまで3人のドライバーが大切に乗り継いできたC-WESTアドバンZ33を安定したドライビングで24時間のフィニッシュをした。
全走行距離866周 距離にして約3000キロにも及ぶ戦いが終了した。
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