2005年JAF全日本ジムカーナ選手権第7戦が三重県鈴鹿サーキット南コースにて行われた。カートコースを使用したテクニカルなハイスピードコース。すでにN3クラス以外にもシリーズタイトルが確定したクラスも多いが、観客の注目は久々の単独エントリーの山野直也。SUPERGT戦で欠場の山野哲也に変わり、EXEDY 55S NSXを駆り、今季初優勝を遂げるべく乗り込んでいく。大きな台風の目になることが予想された。
2日特別練習日、晴れ。練習走行がスタート。直也NSXは10本の練習走行枠をフルに使い、ライバル勢に挑む。今回、岩井照樹チーフメカと島村琢磨メカは直也のためにNSXの足回りをフロントはソフト目、リアはハード目のダンパーをチョイスし、セッティング。その甲斐あり好タイムを連発。トップにてこの日の走行を終えた。 3日公式練習日、晴れ。午前中は公式練習走行へ向けたテストランが設けられ、各マシンが足慣らしのためコースインしていく。午後、公式練習走行がスタート。直也NSXが勢いよくスタートラインを飛び出していく。前半セクションのストレートからS字までを一気に駆け抜けていく。中間地点となる8の字パイロンセクションをサイドブレーキを使わずに巧みにNSXを操る。後半セクションもパワーある走りを見せる。ゴール直前のパイロンも軽やかに潜り抜けてチェッカー。タイムは1分20秒156と好タイムで続くライバル勢の走行を待つ。ポイントランキング3位につけている柴田優作RX7がスタートするも、1分20秒845と直也NSXに及ばない。続くファイナルゼッケンの田原憲RX7が1分19秒890とトップタイムをマーク。その差は0.266秒。僅差でトップの座を明渡すこととなった。
4日決勝日、曇り。雨雲が次第に多くなる空模様。不安定な天候の中、サーキットには多くの観客が訪れる。コースレイアウトは公式練習にあった8の字セクションが鋭角なS字パイロンセクションに変更された。ヒート1がスタートする。直也NSXはスタート直後から積極的にコーナーを攻め、力強いNSXの走りを引き出していく。鋭角S字セクションも見事にパスし、勢いに乗る。後半セクションも圧倒的速さを見せゴールまで駆け抜けた。タイムは1分09秒331と気迫の走りでトップに立ち、ライバル勢にプレッシャーを与えた。その後シードゼッケンの柴田RX7が1分10秒304で3位、田原RX7は1分10秒008で2位。直也NSXは圧倒的な速さでヒート1を終了した。昼休みに入り念入りに慣熟歩行を行なった直也。ヒート1のタイムに甘んずることなく、さらに優勝へ向け闘志を燃やす。ヒート2がスタート。一瞬、雨が降り出すがすぐに上がり、路面状況はドライ。いよいよ直也NSXがスタート。更なるタイムアップを狙い、高速コーナーを走り抜けていく。観客の視線を一点に浴びゴールラインを切ったタイムは1分09秒646。ヒート1タイムにわずか0.315秒及ばなかったものの暫定トップ。ヒート1のタイムを上回ることができないマシンが多い中、藤本泰則RX7が1分10秒020とタイムアップを果たし上位に喰いこんでくる。逆転優勝に向けて気をはいた田原RX7だったが、1分9秒台の壁は厚く、1分10秒669で2位の結果で終わった。この瞬間、直也の今季初優勝が決定し、岩井チーフメカと島村メカと勝利を分かち合う姿に大きな拍手が沸き起こっていた。 山野哲也とのダブルエントリーでスポットで今季戦ってきた直也だが、NSXを操っての初勝利は格別なものであろう。ジムカーナ王者の兄と同じDNAを持つ弟の熱い走りに多くの期待が寄せられる。
「今年NSXで4回目のジムカーナ。これまで3度に渡り、兄の哲也とダブルエントリーをし、NSXでの走り方や勝ち方、セッティング方法までいろんなことを学んできた。その成果が見事発揮できたことは嬉しい。サポートしてくれたメカニックや終始安定したグリップ力を発揮してくれたタイヤに感謝したい。そしてスーパーバイザーの哲也にも感謝している。今季はサポートとしてのスポット参戦だったが、優勝を果たすことができ、シリーズポイントも上位に残れる確率が高い。この勢いで来年も頑張っていきたい。」
