決勝日の26日。朝から雨が降る悪天候。ヒート1がスタート。完全ウエットのコース状況の中、各マシンが果敢にアタックしていくが、足元をすくわれ挙動を乱すマシンが多く見られた。Ｎ3クラス終盤に近づくにつれて雨足がジワジワと強くなっていく。残り７台を残し、大槻隆夫ＲＸ７が１分２５秒６５７とトップ。 そしていよいよタイトルを賭けた一戦の火蓋が落とされた。タイトル争いの３番手を行く柴田ＲＸ７がスタートするが１分２５秒６６７と２位のタイムに甘んずる。そして山野ＮＳＸがコースに飛び込んでいった。さらに激しく雨足が強くなったコースを疾走。水しぶきを激しく上げゴールラインを切る。タイムは１秒２５秒０８８と大槻ＲＸ７より０秒５６９の差をつけトップに立つ。場内からは大きな歓声が巻き起こった。ランキングトップの田原ＲＸ７がスタート。打倒山野に燃える田原だが、タイムが伸びず２２位に沈む。昼休みには、悪天候の中サーキットに押し寄せた多くのファンの前でトークショーを行なった山野。その後、慣熟歩行でタイトル獲得に気合が見え隠れする。いよいよヒート２が開始となる。雨足は弱まり前半ゼッケンからヒート１に山野ＮＳＸが出したタイムが次々と塗り替えられていく。柴田ＲＸ７が逆転チャンピオンへ望みを託しコースイン。パワフルな走りを見せて１秒２１秒５４４のトップタイムで残り２選手の結果を待つ。そして今シーズン最後の走行をスタートさせた山野は、終始落ち着いた走りの中にも力強さを光らせる。場内アナウンスは中間ベストタイム３９秒台をつげ、会場は大いに盛り上がる。山野の妥協しない姿勢の走りに、観客の目はくぎ付けでため息さえ漏れる。注目のタイムは１分１９秒６４０と驚異的な強さを示した。残るは田原ＲＸ７のタイムに注目が寄せられる。山野のタイムより上回ることでタイトルを手中に収めることができるが、１分２１秒０７６と山野に１秒４３６及ばず、この瞬間に山野哲也とＥＸＥＤＹ ５５Ｓ ＮＳＸの２００４年シリーズチャンピオンが確定した。
　今季ＧＴ選手権と大会スケジュールがバッティングし、９戦中５戦しか参戦できなかった山野だが、ライバル勢の追撃をかわし、Ｖ１１の記録を達成。参戦した全ての大会で優勝と勝率１００％でシリーズタイトルを獲得した。山野はさらに全日本ジムカーナ界史上初の前人未到となるＶ１２を目指して２００５年度も大いに活躍が期待される。